土耕潅水制御|ハウス土耕の潅水自動化

ハウス土耕潅水制御

畝を歩いてホースを持つ時間を、
丸ごと返します。

ハウスの土耕で、最大10レーン。液肥とpH調整液(pHダウン剤/アップ剤)の濃度は流れた水量に連動して自動で合わせます。設定も運転状況の確認も、盤の前でもスマホからでも。

目次

畝を歩く時間を取り戻したくて作りました

手作業の潅水は、ホースを持って畝を歩き、弁を開け閉めするだけの単純作業です。けれど、それを1日に何度も、ハウスを回って行うとなると話が別でした。作業そのものより、圃場までの往復にかかる時間の方が、気づかないうちに重くのしかかります。

弁を開けている間の待ち時間と、畑への行き来だけで、毎日かなりの時間が取られていました。1時間おきに畑へ足を運ぶような日もありました。毎日この時間が取られると、旅行にも遊びにも行けなくなります。栽培以外のこと、営業や経営の計画、大切な人と過ごす時間に頭を使えなくなるのが、私にはいちばん堪えました。

市販の設備は、品質だけでなく、営業やメンテナンスの安心も含めての価格だと思っています。私たちはそこを削って、自分で直せる方のための価格にしました。自分の設備は、自分の手の内に置いておきたい。そう思って、自分で作りました。

2019年には、この仕組みを技術同人誌にまとめて発信していました。この考えは、その頃からずっと変わっていません。

潅水のやり方は、圃場ごとに違います

私たちは、アナログとデジタルの装置を試作し、3年動かしてきました。分かったのは、同じハウスの中でも「雨の日」「朝」「夜」で欲しいことが変わるということです。だからこの装置は、日射比例・土壌水分・タイマーの3つのやり方をひととおり載せて、選べるようにしました。後から変えられます。

潅水は、場面によって「欲しいこと」が変わります

雨の日は、何もしなくていい

曇りや雨の日は日射が少ないので、潅水の回数が自動的に減ります。回数が増えるほど次のしきい値が上がる段階式なので、天気を見て設定を変えなくても、1日の潅水回数は自然に頭打ちになります。

決めた量を、決めた回数

日射や土壌水分に任せると、量はそのときの環境しだいで変わります。「この作型では1日に何mL出したい」という絶対量を管理したいなら、時刻で区切って、決めた量を決めた回数出せます。絶対量を管理できるのは、このやり方だけだと私たちは思っています。

夜は少し乾かして、徒長を抑える

夜まで水を残さない運用ができます。夜間の過湿は、うどんこ病や灰色かび病のリスクにもなると言われています。徒長を抑えたい理由と、病気を避けたい理由が、同じ運用の中で重なっています。

朝は、ゆっくり目を覚ますように

夜の間に水分ストレスを抱えた状態のまま、いきなり日中の潅水に入ると、実が割れやすくなることがあります。そこで初回だけしきい値を別に持たせ、薄暗いうちにゆっくり回復させてから、日中の運転へ移します。人がお白湯を飲むように、というイメージです。

初回を別扱いにしたくない場合は、2つの値を同じにすれば無効にできます。

どのやり方を選んでも、水を出す時間帯は決められます

開始時刻と終了時刻は、日射比例でも土壌水分でも共通して効く枠です。決めた時間帯の外では、潅水は始まりません。

乾湿の振れを、作らない

雨の日は自動で控えめに、時刻を決めれば絶対量を管理でき、夜は乾かして徒長を抑え、朝はゆっくり本格運転へ移す。組み合わせると、不規則な潅水(乾いたり湿ったりの繰り返し)を避けやすくなります。乾湿の繰り返しは尻腐れを悪化させると言われており、単独の売り文句にするつもりはなく、ここまでの積み重ねの結果としてそこを避けられると考えています。

日射比例・土壌水分・タイマー

この3つから選べます。本体だけで使えるのはタイマーです。日射比例と土壌水分を使うには、当社データロガー(別売)が必要です。迷ったら、タイマーから始めるのがおすすめです。日射比例や土壌水分へは、後からデータロガー(別売)を足して切り替えられます。

日射比例潅水

その日の日射の積算量が一定を超えたら潅水します。回数が増えるほど次のしきい値が上がる段階式なので、1日の潅水回数が自然に頭打ちになります。日射が弱い日は、そもそも回数が伸びません。日射量に応じて潅水量を増やす考え方は、公的な指導者向け教材(兵庫県・トマト向け)にも載っている考え方です(兵庫県次世代施設園芸技術習得支援協議会「環境制御技術導入のための指導者向けマニュアル」)。

日射量の計測に、当社データロガー(別売)が必要です。

土壌水分

設定した水分量を下回ったら潅水します。水が入って水分が戻れば止まる、というだけの仕組みです。余計な調整項目を足していません。

土壌水分の計測に、当社データロガー(別売)が必要です。

タイマー

決めた時間帯の中で、何時間おきに、レーン1から順番に潅水します。この動きは制御盤だけで完結しているので、インターネットが切れていても止まりません。

センサーは不要です。この装置だけで動きます。

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濃度はmL/Lで入れるだけ

電磁式の定量ポンプを3台積んでいます。2液式の肥料(A液・B液)と、pH調整液です。設定するのは濃度だけです。肥料は水1Lあたり何mL、pH調整液は水10Lあたり何mL。実際に流れた水量に連動して投入するので、潅水量が変わっても濃度は変わりません。

ポンプの吐出量はタッチパネルで校正できます。個体差や、使い込んでからのズレを設定値で吸収する形です。

流量を数えて、おかしければ止めます

流量センサーで、実際に流れた量を数えています。想定と違う流れ方をしたときは潅水を止めます。この停止は制御盤の側だけで完結しています。インターネットやクラウドが落ちていても、止まるべきときは止まります。ここを通信に依存させていないのが、この製品でいちばん気を遣っているところです。レーンごとに「1回でこれ以上は流さない」という給水時間の上限も設定できます。

盤の前でも、スマホからでも

制御盤の前面にある4.3インチのタッチパネルで、レーンごとの入切・各設定値の変更・手動潅水・稼働確認までが完結します。レーンごとの入切と1回の潅水量は、スマートフォンからも変更・確認でき、現場に行かないと分からない、という状態にはなりません。設置場所のWi-Fiを変えるときも制御盤の扉を開けずにタッチパネルから設定できます。通電したまま盤を開ける必要がありません。

やれるけど、やらなくていい。この違いは、思っている以上に大きいと感じています。私自身、外出できるようになりましたし、栽培を人に教えたり、野菜づくり以外にも時間を使えるようになりました。

電磁弁までが、この装置です

配管は圃場ごとに長さも取り回しも違うので、そこは一律にしていません。装置から先の配管は、圃場に合わせてお客様で選んでいただく形にしています。そのぶん装置側は構成を固定して、価格も固定できます。架台に組み付けた状態でお納めするので、現地では電源と配管をつなぐだけです。

この装置に含まれるもの

  • 制御盤一式(コントローラ+タッチパネル・主幹ブレーカー・DC24V電源・盤内配線・サージ保護)
  • 電磁式定量ポンプ3台(肥料A液・B液・pH調整液)
  • 電磁弁10個(10レーンぶん・手動開閉レバー付き)
  • 流量センサー
  • スクリーンフィルター(装置内)
    井戸水・ため池など水道水以外の水源では、給水元にディスクフィルターを追加します(水源に応じてご相談ください)
  • アルミフレーム架台一式(盤・ポンプ・フィルター・電磁弁をここに組んでお渡しします)

お客様でご用意いただくもの

  • 装置から先の配管一式(塩ビ管・継手・支持金具、および電磁弁のホースソケット以降)
  • 薬液タンク(肥料A液・B液用、およびpH調整液用)
  • 電源の引込工事(既設の分電盤からこの装置まで・分電盤側の分岐ブレーカーを含む)
    配線経路も必要な工事も圃場ごとに違うため、電気工事はお客様手配とさせていただいています
  • 接地工事(既設のアースが無い場合)
  • 水源とポンプ
  • データロガー(日射比例・土壌水分で運転する場合)

製品の中身

項目内容
制御方式プログラマブルコントローラ + タッチパネル(4.3インチ)一体型
潅水レーン10レーン(電磁弁10個を標準同梱)
潅水方式日射比例/土壌水分/タイマー から選択
薬液投入電磁式定量ポンプ3台(肥料A液・B液・pH調整液)/投入量はレーンごとに設定値で入力・流量に連動して投入
流量計測流量センサー(積算・異常検知)
環境データの取得日射量・土壌水分は当社データロガー(別売)から取得/タイマー運転時は不要
安全機構流量異常での自動停止/レーンごとの潅水時間上限(いずれも制御盤側で完結・通信断でも動作)
引込電源単相AC200V
制御電源DC24V
制御盤樹脂製盤IP56/サージ保護/盤内冷却ファン
接地は既設のアースへ接続します(アースが無い場合の接地工事はお客様手配)
ろ過スクリーンフィルター(装置内・標準)
水道水以外の水源では給水元にディスクフィルターを追加
架台アルミフレーム製(盤・ポンプ・フィルター・電磁弁を組み付けた状態でお納めします)
遠隔監視・操作無線LAN経由のクラウド接続/スマートフォン対応

お客様の現場から

S様(神奈川県)— ハウス土耕・10レーン

2026年6月末に設置しました。1つの電磁弁から手前・奥の畝へお客様ご自身で分岐配管と手動弁を組まれ、実質20畝分を1台で回されています。

pH調整液の投入にも対応した構成でお納めしています。

S様は「サボると上手く育たないから、やらない選択肢は無い。解放されるだけで、全然違う」と話してくださいました。奥様やご友人と出かける時間も持てるようになったそうです。

正直な価格の理由

専門の営業担当やメンテナンス担当を置いていません。そのぶん、価格を抑えられています。逆に言うと、市販品の価格には、その安心感も含まれていると思っていただければと思います。

ですので、ご自身である程度メンテナンスができることが前提になります。DIYの気持ちがある方に使っていただきたいと思っています。突き放すつもりはありません。直し方は、ページ下の修理・お手入れブログで随時公開しています。

2019年に自分で書いた小冊子でも、施設園芸で一番おすすめしたいものとして真っ先に電気工事の資格を挙げていました。今も同じ考えです。

レーン数で刻んだ価格表は作っていません。10レーンぶんの構成で一律にしています。使うのが4レーンでも10レーンでも同じです。配管は圃場ごとに違うので価格に含めていません。上の「お客様でご用意いただくもの」の分だけ、別途かかります。

いきなり120万円と聞くと不安になりますよね、私たちも逆の立場ならそう思います。

1,200,000円(税込 1,320,000円)

10 レーンぶんの装置一式の価格です。設置場所までの電源の引込工事と、装置から先の配管は含みません。工事費や配管費がいくらになるかは、圃場によって変わります。据付や電源工事の範囲は、現場に合わせてご相談ください。

導入までの流れ

DIYでの取り付けを前提に作っていますが、慣れない作業も出てくるかもしれません。目安として、次のくらいは見ておくと安全です。

  • お問い合わせから設置まで、目安は1ヶ月です。
  • 設置には1週間ほど見ておくと安全です。装置の組み立てよりも、ホースや電線の取り付けに時間がかかることの方が多いです。
  • 出張施工も承っています。安全のため、基本的に端境期に行っています。

電気工事が必要な場合は、お近くの電気工事店にご依頼ください。地域ごとに事情が異なるため、こちらからの紹介はしておりません。

繰り返しはシステムに、人は観察と戦略に

優秀なセンサーであり、柔軟に動けるアクチュエーターでもある――人間はもともと、そういう存在だと思っています。単純な繰り返し作業に使うのではなく、圃場を見て回り、変化に気づく観察に使う。空いた時間は、栽培や経営の戦略を考えることに使う。それができれば、栽培も経営も良くなっていくはずだと信じています。

気になりがちな質問

既設の潅水設備に後付けできますか

圃場によって配管の状況が異なりますので、まずは現在の設備を教えてください。そのうえで可能かどうかをお答えします。

インターネットが切れたらどうなりますか

潅水も薬液の投入も、制御盤の中で動いています。インターネットは、スマートフォンから設定を変えたり状態を見たりするための経路です。つながっていない間も、装置はそれまでの設定で動き続けます。

補助金は使えますか

対象になるかどうかは制度や年度で変わるため、申請先の窓口にご確認ください。ご相談いただければ、申請にお使いいただける資料をご用意します。

まずは、圃場の写真だけでも

いきなり見積を取る、という話でなくて構いません。「うちの畝でも動くのか」を私たちと一緒に見るところからで大丈夫です。

水耕の栽培槽や、もっと小さな規模もお探しですか。潅水のやり方を3つ並べて比べるページをご用意しています。

この装置のお手入れ・修理

使っていて「あれ?」となったときの直し方を、写真つきで公開しています。部品を替える前に、まず試せることから並べました。

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